失語症の評価において、WAB(Western Aphasia Battery)とSLTA(標準失語症検査)は
どちらも代表的なツール。
でも、「どちらを先にやるべきか?」は新人STにとって悩みどころ。
評価の目的や患者の状態に応じた選択のヒントを見てみましょう。

失語症の評価でWABとSLTA、どちらを先に実施すべきか迷っています。



いい質問だね。まずは目的によるよ。失語症タイプの診断や重症度の把握が目的なら、WABが先に適してるのかな。



なるほど。じゃあ、機能的な言語使用や生活場面に近い課題を見たい場合はどうですか?



その場合はSLTAが有効だね。文字や音読、読解といった日常言語能力の評価が細かいからね。



でも、両方やる時間がとれないことも多くて…。



時間が限られている場合は、WABのスクリーニング版やSLTAの優先項目(例:復唱、聴理解)だけをピックアップするのも手ですよ。



患者の疲労や注意力が不安なときも、まずはWAB短縮版の方がいいですか?



うん、そうだね。WABは負荷が比較的低い課題が多いから、導入としてはやりやすいことが多いよ。



わかりました。評価の目的と患者の状態に応じて、順序を柔軟に決めるようにします!



【参考】WABとSLTAの比較表を見てみましょう
項目 | WAB(Western Aphasia Battery) | SLTA(標準失語症検査) |
---|---|---|
開発国・文化背景 | 海外(英語ベース/日本語版あり) | 日本で開発(日本語母語者に最適化) |
主な目的 | 失語タイプ分類・重症度判定 | 日常言語能力の機能的評価 |
失語症分類の明示 | あり(Broca、Wernicke など7分類) | なし(項目別スコアから判断) |
構成内容 | 自発話、復唱、聴理解、命令、名称、読み書き | 聴覚理解、音読、復唱、読解、書字など12下位項目 |
評価時間 | 約45~60分 | 約60分(優先項目なら30分でも可) |
対象の重症度 | 中等度~重度も対応しやすい | 軽度~中等度が評価しやすい |
応用性 | 海外の研究や標準化との比較に有効 | 日本語環境下の訓練や指導に直結しやすい |
スクリーニング版 | あり(WAB AQのみ) | なし(ただし項目選択で短縮可) |
🔑 Key Point|要点整理
- Why:WABとSLTAは目的・構成が異なるため、患者の状態や評価の目的に応じた順序選択が必要。
- How:
- 診断・重症度確認 → WABを先に
- 生活場面に近い課題を確認 → SLTAを優先
- 時間・体力に制限あり → WAB短縮版 or SLTA優先項目
- 注意・覚醒が不安定 → 短時間・低負荷のWAB導入が無難
- Tip:どちらか1つに絞るなら、医師やチームとの共有目的に合わせて柔軟に決めよう!
📝 Memo|参考資料
わかりやすく書かれていて、フレッシュST必携でしょうか



うちの施設には、SLTAしかないんだよなぁ・・・(泣
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