【新人 ST の壁 #4】WABとSLTA、どちらを先に実施?           ~目的に応じた言語評価の選び方~

失語症の評価において、WAB(Western Aphasia Battery)とSLTA(標準失語症検査)は
どちらも代表的なツール。
でも、「どちらを先にやるべきか?」は新人STにとって悩みどころ。
評価の目的や患者の状態に応じた選択のヒントを見てみましょう。

K子さん

失語症の評価でWABとSLTA、どちらを先に実施すべきか迷っています。

かに3

いい質問だね。まずは目的によるよ。失語症タイプの診断や重症度の把握が目的なら、WABが先に適してるのかな。

K子さん

なるほど。じゃあ、機能的な言語使用や生活場面に近い課題を見たい場合はどうですか?

かに3

その場合はSLTAが有効だね。文字や音読、読解といった日常言語能力の評価が細かいからね。

K子さん

でも、両方やる時間がとれないことも多くて…。

かに3

時間が限られている場合は、WABのスクリーニング版やSLTAの優先項目(例:復唱、聴理解)だけをピックアップするのも手ですよ。

K子さん

患者の疲労や注意力が不安なときも、まずはWAB短縮版の方がいいですか?

かに3

うん、そうだね。WABは負荷が比較的低い課題が多いから、導入としてはやりやすいことが多いよ。

K子さん

わかりました。評価の目的と患者の状態に応じて、順序を柔軟に決めるようにします!

かに3

【参考】WABとSLTAの比較表を見てみましょう

項目WAB(Western Aphasia Battery)SLTA(標準失語症検査)
開発国・文化背景海外(英語ベース/日本語版あり)日本で開発(日本語母語者に最適化)
主な目的失語タイプ分類・重症度判定日常言語能力の機能的評価
失語症分類の明示あり(Broca、Wernicke など7分類)なし(項目別スコアから判断)
構成内容自発話、復唱、聴理解、命令、名称、読み書き聴覚理解、音読、復唱、読解、書字など12下位項目
評価時間約45~60分約60分(優先項目なら30分でも可)
対象の重症度中等度~重度も対応しやすい軽度~中等度が評価しやすい
応用性海外の研究や標準化との比較に有効日本語環境下の訓練や指導に直結しやすい
スクリーニング版あり(WAB AQのみ)なし(ただし項目選択で短縮可)

🔑 Key Point|要点整理

  • WhyWABとSLTAは目的・構成が異なるため、患者の状態や評価の目的に応じた順序選択が必要。
  • How
    1. 診断・重症度確認 → WABを先に
    2. 生活場面に近い課題を確認 → SLTAを優先
    3. 時間・体力に制限あり → WAB短縮版 or SLTA優先項目
    4. 注意・覚醒が不安定 → 短時間・低負荷のWAB導入が無難
  • Tip:どちらか1つに絞るなら、医師やチームとの共有目的に合わせて柔軟に決めよう!

📝 Memo|参考資料
わかりやすく書かれていて、フレッシュST必携でしょうか

かに3

うちの施設には、SLTAしかないんだよなぁ・・・(泣

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この記事を書いた人

言語聴覚士/公認心理師
病院、療育、就労支援での経験から、
『具体的に動くことで、具体的な反応が得られる』を心掛けて、 日々臨床に四苦八苦中。

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