「ブローカ失語の患者さんにPACE法(Promoting Aphasics’ Communicative Effectiveness)をやってみようと思うのですが…重度の方でもいいですか?」
こんな相談を受けることがあります。確かに、会話場面を重視するPACE法は魅力的ですが、重度のブローカ失語にどこまで有効かは悩むポイントです。今回は、重度ブローカ失語とPACE法の関係を掘り下げてみました。

重度のブローカ失語の患者さんに、コミュニケーションを促したくてPACE法を検討しているのですが、適応しますか?



いい視点だね。まずはPACE法の本質から確認しよう。あれは「コミュニケーションの効果性を高める」ための方法であって、「文法力や音韻を治すための方法」ではないんだ。



なるほど。ということは、発話の正確さよりも、伝わるかどうかを重視するわけですね。



その通り。ただ、重度のブローカ失語の場合、そもそも単語の産出が極端に難しいから、効果が薄い場合があるかもしれないね。



確かに…単語も出ない状態では、カードを引いても何も言えない可能性がありますね。



そう。でも、だからといって完全に不適応というわけでもない。代替手段(ジェスチャー、描く、指差し)を許容して「伝わった感覚」を得る練習としてなら、とても有効だよ。



なるほど…。言語表出の量や正確性を求めず、ジェスチャーや描画も含めてOKなら、参加しやすいですね。



そう。むしろ重度の人ほど「伝わった」という成功体験を積むのが大事だから、その意味でPACE法は役に立つよ。



わかりました!重度のブローカ失語の方には、方法を工夫して、ジェスチャーや絵も交えながらPACE的な訓練をしてみます!
PACE法の特徴
PACE法は、1976年にDavid L. Davisらによって提案された方法で、以下の4つの原則に基づいています。
1️⃣ 話し手と聞き手が対等な立場でやり取りする。
2️⃣ 任意のモダリティ(音声、ジェスチャー、絵、書字など)で伝えてよい。
3️⃣ 話し手が伝えたい内容を自ら選ぶ。
4️⃣ 成功の基準は「正確さ」よりも「伝わったかどうか」。
つまり、コミュニケーションの「正しさ」よりも「効果性」を重視するアプローチです。
重度のブローカ失語では…
- 自発発話がほぼ不可能。
- 単語も一語ずつしか出ず、流暢性は著しく低下。
- 音韻的エラーが多い。
- 理解は比較的保たれていることが多い。
このような状態では、PACE法の中核である「やり取りする主体性」を発揮するのが難しい場面もあります。
💡 実際の臨床での工夫
重度ブローカ失語にPACE法を応用するための具体策
✅ ジェスチャーや指差しを許容
→ 絵カードや実物を見せ、指さすだけでもOKにする。
✅ 簡単な課題設定
→ 選択肢を減らし、成功しやすい状況を作る。(例:2択やYes/Noから)
✅ パートナーの支援
→ 聞き手が促し、ヒントを出しながら伝えられるようにする。
✅ 描画や写真を活用
→ 自分で絵を描いたり、写真を指さしてもらう。
✅ 短時間・少回数からスタート
→ 疲労しやすいため、1セット5分程度で切り上げる。
PACE法が有効な理由
重度の患者さんでも、
- 「伝えられた!」という達成感が意欲を高める。
- 相手との双方向的な関わりが維持される。
- モダリティの幅を広げる練習になる。
などのメリットがあります。
🔑 Key Point|要点整理
- Why:重度ブローカ失語の患者さんも「伝わる喜び」を得ることが重要。
- How:
- ジェスチャーや絵など代替モダリティを取り入れる。
- 成功体験を積みやすいシンプルな課題から始める。
- 聞き手のサポートで「伝わった感」を感じさせる。
- Tip:無理に言葉を引き出そうとせず、相手に伝える手段の一つとして発話を「含める」イメージが大切。



あなたの現場では、重度の患者さんにPACE法をどのように応用していますか?ぜひ工夫や成功体験をシェアしてください!
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