【新人 ST の壁 #10】重度ブローカ失語にPACE法は適応?

「ブローカ失語の患者さんにPACE法(Promoting Aphasics’ Communicative Effectiveness)をやってみようと思うのですが…重度の方でもいいですか?」
こんな相談を受けることがあります。確かに、会話場面を重視するPACE法は魅力的ですが、重度のブローカ失語にどこまで有効かは悩むポイントです。今回は、重度ブローカ失語とPACE法の関係を掘り下げてみました。

ホープくん

重度のブローカ失語の患者さんに、コミュニケーションを促したくてPACE法を検討しているのですが、適応しますか?

かに3

いい視点だね。まずはPACE法の本質から確認しよう。あれは「コミュニケーションの効果性を高める」ための方法であって、「文法力や音韻を治すための方法」ではないんだ。

ホープくん

なるほど。ということは、発話の正確さよりも、伝わるかどうかを重視するわけですね。

かに3

その通り。ただ、重度のブローカ失語の場合、そもそも単語の産出が極端に難しいから、効果が薄い場合があるかもしれないね。

ホープくん

確かに…単語も出ない状態では、カードを引いても何も言えない可能性がありますね。

かに3

そう。でも、だからといって完全に不適応というわけでもない。代替手段(ジェスチャー、描く、指差し)を許容して「伝わった感覚」を得る練習としてなら、とても有効だよ。

ホープくん

なるほど…。言語表出の量や正確性を求めず、ジェスチャーや描画も含めてOKなら、参加しやすいですね。

かに3

そう。むしろ重度の人ほど「伝わった」という成功体験を積むのが大事だから、その意味でPACE法は役に立つよ。

ホープくん

わかりました!重度のブローカ失語の方には、方法を工夫して、ジェスチャーや絵も交えながらPACE的な訓練をしてみます!

PACE法の特徴

PACE法は、1976年にDavid L. Davisらによって提案された方法で、以下の4つの原則に基づいています。
1️⃣ 話し手と聞き手が対等な立場でやり取りする。
2️⃣ 任意のモダリティ(音声、ジェスチャー、絵、書字など)で伝えてよい。
3️⃣ 話し手が伝えたい内容を自ら選ぶ。
4️⃣ 成功の基準は「正確さ」よりも「伝わったかどうか」。

つまり、コミュニケーションの「正しさ」よりも「効果性」を重視するアプローチです。

重度のブローカ失語では…

  • 自発発話がほぼ不可能。
  • 単語も一語ずつしか出ず、流暢性は著しく低下。
  • 音韻的エラーが多い。
  • 理解は比較的保たれていることが多い。

このような状態では、PACE法の中核である「やり取りする主体性」を発揮するのが難しい場面もあります。

💡 実際の臨床での工夫

重度ブローカ失語にPACE法を応用するための具体策

ジェスチャーや指差しを許容
 → 絵カードや実物を見せ、指さすだけでもOKにする。

簡単な課題設定
 → 選択肢を減らし、成功しやすい状況を作る。(例:2択やYes/Noから)

パートナーの支援
 → 聞き手が促し、ヒントを出しながら伝えられるようにする。

描画や写真を活用
 → 自分で絵を描いたり、写真を指さしてもらう。

短時間・少回数からスタート
 → 疲労しやすいため、1セット5分程度で切り上げる。

PACE法が有効な理由

重度の患者さんでも、

  • 「伝えられた!」という達成感が意欲を高める。
  • 相手との双方向的な関わりが維持される。
  • モダリティの幅を広げる練習になる。

などのメリットがあります。

🔑 Key Point|要点整理

  • Why:重度ブローカ失語の患者さんも「伝わる喜び」を得ることが重要。
  • How
    1. ジェスチャーや絵など代替モダリティを取り入れる。
    2. 成功体験を積みやすいシンプルな課題から始める。
    3. 聞き手のサポートで「伝わった感」を感じさせる。
  • Tip:無理に言葉を引き出そうとせず、相手に伝える手段の一つとして発話を「含める」イメージが大切。
ホープくん

あなたの現場では、重度の患者さんにPACE法をどのように応用していますか?ぜひ工夫や成功体験をシェアしてください!

📝Memo|参考資料

👇訓練立案にも役立つ情報も多いので、オススメです👇

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この記事を書いた人

言語聴覚士/公認心理師
病院、療育、就労支援での経験から、
『具体的に動くことで、具体的な反応が得られる』を心掛けて、 日々臨床に四苦八苦中。

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